このところの猛暑の中で見るとより生々しく思わず汗が滲む。さらに給水制限。そして料金の滞納から局員が元栓を止める。想像するだけで喉の渇きを感じるだろう。水と安全はただだと言われた日本も今となっては過去の話。それでもバケツを手に何キロも歩く、水道の水で歯も磨けないといった海外の事情など見ればまだ日本など有賀い場所だと言える。2023年の本作はその水がテーマで地方の水道局員を生田斗真が演じる。仕事と生活とであれこれ苦悩する姿が印象的だ。それと同様に突き刺さるのが二人の女の子だろう。ぐれた母親の帰りを待つ姿など健気で心が痛む。言い方を替えるならば彼女らが主役と言ってもいいくらいで存在感が強烈である。何かしてあげたい。見ながら生田の心に共感する人も多いのではないか。本作は目に見える水を描きつつも本質の部分は人間の心の渇きなんだと思わずにはいられない。重いが視聴する価値は十分な一作だ。
🦍本日のゲストページ🦍