
公開は1959年とかなり古い作品です。2006年の「硫黄島からの手紙」などと比較すると当然のことながら映像には雲泥の差があります。それでもモノクロ映像が時代背景と言いますか妙な生々しさを生んでいる気がします。原作は芥川賞を受賞した菊村到の同名小説。原作は未読ですが、本作が文字になったらどんな感じになるのだろうかと、ちょっと興味を抱かせます。それにしても何とも言えない不思議な魅力のある一作ですね。派手な戦闘シーンはほとんどなく、ひっそりと敵から隠れ逃げる。硫黄島での出来事と言えばこの程度。メインはそこで生き残って戻った兵士の生き様などでミステリーの雰囲気さえあって物語に引き込まれて行きます。大坂志郎、佐野浅夫の演技もさすがの領域で見ているものを魅了します。結局のところ何だったのという一見煮え切らないラストも、言い換えれば戦争が与えた悲惨さや悪夢のようなものなのかもしれません。
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