2020年に公開された本作は、雫井修介の小説を映画化したもので、家族の絆が全編に描かれています。その核心の部分はタイトルを見れば一目瞭然。実に分かり易く、見る側に言葉の意味を投げかけてきます。小説などではやたら長い題名が受ける傾向があるらしいですが、私個人の意見としてはナンセンスです。さてこの原作も映画も知らずに見たわけですが、四人の家族の距離感が非常にうまく描かれていて、特に年頃の子供を持つ親なら、より現実的で映画の中の世界だと他人事では済ませられないでしょう。時間の経過とともに重さを増していく。黒なのか白なのか、わからない不安で見ている側の心も揺さぶられる。この緊迫感がこの映画を引き締めていますね。そのためあの部屋でのワンシーンはついもらい泣きしてしまうほどでした。同時にもしこれが自分の家だったらと何度考えたことか。家族だからこその絆を改めて考えさせられた108分でした。