それでは本年度の企画であるMy Academy Awards。五月のエントリー作品を紹介します。例によって邦画は白です。
●真夏の方程式
●多羅尾伴内
●エイリアン:コヴェナント
●弾痕
●ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
●ジャッカル
●インフェルノ
●キング・オブ・エジプト
●大脱獄
●黄金のアデーレ 名画の帰還
●ワイルド・スピード EURO MISSION
●ボーダーライン
●コンカッション
●ツナグ
●アウトレイジ 最終章
以上の15本。そしてこの中から選んだMy Academy Awardsは、
●ジャッカル(The Jackal)
ただ単に痛快娯楽で楽しめたと言うのならワイスピのユーロミッションを挙げる。ただしこれはシリーズもので登場人物の立ち位置などが分かっているからであり、初めて見る場合は洋画のド派手さは感じられるにしても過去の流れが判らないと面白味も当然低下する。これはシリーズものの宿命でもある。そうなるとエイリアンやアウトレイジも同様となるのだろうが、どちらも楽しみにしていた割には今一つと言うのが正直なところ。特に完結となる最終章はこれまで漂っていた恐怖を伴った緊張感が薄れてしまっていて見終わった後に溜息が出てしまうほどだ。最後は派手にと言う意図かもしれないが期待してただけに残念である。となれば、一般的には戦時中にナチスに奪われた絵を持ち主に返還する奮闘を描いた黄金のアデーレ。ナショナル・フットボール・リーグの選手たちと慢性外傷性脳症との関連を発見した医師を描くコンカッションと、どちらも事実に基づいた作品であるだけに見応えは十分だが、あえて今月はジャッカルを選びたい。ジャッカルと言えばそのタイトルからして1973年のジャッカルの日を思い浮かべる人もいるだろうが、1997年のジャッカルはそのリメイクである。しかし、似ているようで似ていない。似ていないようで似ていると言うのが率直な感想で意外と言っては失礼だが独特の緊張感もあって思いの外入り込める。主演はブルース・ウィルス。そしてリチャード・ギア。ダイ・ハードなどを見た後では違和感を覚えてしまうかもしれないが、ブルースの変貌ぶりはなかなか面白く目を奪われる。エンディングに感じるそれまでとは対比したかの余韻が心地よくも感じる。とは言え、これを見ることでもう一度ジャッカルの日が見たくもなる。緊張感だけで群を抜いていると言うのならボーダーラインだろう。これはほぼ全編にその緊張感を漂わせている。一言でスリリングだ。ただし、ストーリーは正直良く判らない。もっとも良く判らない筆頭は邦画の加山雄三主演の弾痕だ。若大将とは正反対の渋い演技で、その上ハードボイルド調で洒落た映画なのだが、内容は難解のレベルでさっぱりわからない。そう考えるとまだ大脱獄の方が解りやすい。とは言え、後半になるにつれて出る失速感が悔やまれる作品だ。原作を読んだ直後に見たのは真夏の方程式とツナグ。ツナグは過去に一度見ている。その際は然程響かず印象にほとんど残っていないが、今回は原作の記憶と映像とのマッチングがすこぶる良くて結構楽しめた。たいして真夏の方程式は噛み合い度はもう一つで物足りなさが残る。ファンタスティック・ビーストとキング・オブ・エジプトについては今時の映像と言った印象で可も不可も無し。
以上、My Academy Awardsでした。