赤い蕾と白い花
修理個所を見つめるかに、最新作の棚に並んだマグニフィセント・セブンを
しばし眺めていました。それこそ20年も前だったら気になる作品ですから、
すぐさまどころか、入荷日と同時にレンタルしたに違いない。実際過去には
そんなこともあった。初めて再生するDVDは気持ちも良いもんですからね。
何より公開初日に見たような錯覚に陥ると言うか、それに近い満足感を
得られたものでした。もちろん、思い入れのある映画に限った話で、現在の
ように様々な映画を見始めてからは、最新作への食いつきがだいぶ鈍った
気がしますね。特に新作一泊などと言うレンタルは忙しなくていけません。
今宵の映画は再び邦画。1962年の「赤い蕾と白い花」です。先の日本の
仁義よりも古い作品になりますが、リマスタリングをしたのでしょう。映像が
クリアで透明度のような明るさを感じます。音声も同様に聞き取りやすい。
すべてのセリフをハキハキと喋る様は、まるで舞台を見ているようですね。
一言で青春活劇。清々しさの中にも時代を超えたかの斬新な演出もある。
しかし、それがまた今となっては妙にフレッシュで良い。原作は寒い朝で、
製作時のタイトルもそれだったが、公開が6月になったこともあって、この
タイトルに変更したらしい。冒頭に流れる歌は吉永とマヒナの寒い朝です。
主演は吉永小百合と浜田光夫。この二人のやり取りは初々しいどころか、
少々臭くも感じてしまうわけですが、これも当時の青春の一コマと思えば、
興味深く見ることが出来ますね。ちなみにこの映画は二度目の映画化で、
59年に若い素顔と言うタイトルで製作され、高峰三枝子は同じ役で出演。
そして、三輪貞一という医師役で登場するのが金子信雄。時代ですかね。
咥え煙草で人様の家に上がり込むのですから、ちょっとした衝撃を覚える。
医師ですしね。仁義なき戦いでは小心でずる賢かった金子も、本作品では
とても紳士で良いお父さんです。心が洗われるような作りの映画でしたね。