桜の樹の下で
そろそろ関東地方も梅雨入りか。そんな季節が目前ではありますが、
土曜休みの本日は午前中だけ会社に出掛けて洗車してきました。
もちろん仕事の車です。賞味3時間程度でしたけど、手洗い洗車は
それなりに疲れます。お蔭で午後の映画は昼寝に変わりました。
このところ洋画が連発してましたので、今回はしっとりとした邦画。
「桜の樹の下で」1989年のR指定作品。中学生以下は観覧禁止。
渡辺淳一の連載小説を映画化したもので、惹句、簡単に言うところの
キャッチフレーズは、母の恋人は私の愛人となっております。
主演は岩下志麻。娘役に七瀬なつみ。この二人の親子の、そして、
女としての生き様が、タイトルにある桜の樹を交えて展開してゆく。
岩下志麻の色気と七瀬なつみの若さも見所の一つでしょうね。
思わぬところで極道の妻たちの共演も見られたのも面白いです。
それにしても岩下志麻の京都言葉は耳に心地よく聞こえますね。
演じていると言うよりも、もともとそうであるかのようにとにかく自然。
極道の凄味のある声も嫌いじゃないんですけど、ソフトでありながら
柔らかすぎない声と喋りの間は、品の高さのようなものを感じさせる。
キャッチコピーを見れば明らかで、爽やかな恋愛映画ではありません。
複雑な女心が時に怪しく、時に切なく見ている側に伝わってくる。
そんな女性らが桜のように、画面に広がる桜が女性のようにも映る。
昼間にしても夜にしても、潰れず飛ばす綺麗に見せてくれています。
実際、映画や小説だけの話じゃないのかもしれませんが、見ていて
京都や弘前の桜もいつかはじっくりと眺めたいと思いましたね。
なんとなく連想出来てしまう結末も、ごく自然の成り行きでしょうか。
妙に納得させられてしまったりする。物悲しい映画でしたね。